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欧州ホスピス最新事情:終末ケアは在宅が中心

ホスピス発祥の地、アイルランドと英国のホスピス視察(仙台白百合女子大非常勤講師:尾崎雄氏)
◎デイケアに力を入れている。・・・デイケアとは自宅で療養する患者が定期的に医療施設に通って病状チェックを受け、リハビリ、食事・入浴をしたりする事。

アイルランドの首都ダブリン北部の聖フランシス・ホスピス・・・週4回デイケアを実施。
・「社交を大事にする」・・・マッサージ、足のセラピーや理・美容サービス、絵を描いたり、音楽鑑賞のほか患者の誕生日会を催す。
・「一人で落ち着きたい患者」・・・めい想室や喫煙室の用意。

同ホスピスが1999年にかかわった終末期患者は431人でそのうち自宅で亡くなった人は242人(56.1%)と過半数に達した。・・・デイケアが盛んということは、がんなどの終末期患者の多くが自宅で家族に看取られながら、その人らしい生き方を全うしている事を示している。

アワレディーズ・ホスピス・・・ダブリン南部に世界初のホスピスとして創設され同ホスピスも同様で、入院定員36人に対して、常時100人〜120人の在宅患者を12人の訪問看護婦と2名の医師からなるチームがケアし、毎週火水木の三日間、デイケアを実施している。

英国ロンドンの聖クリストファー・ホスピス・・・世界のホスピスの手本とされる同ホスピスも、在宅ケアが中心。1999年にかかわった在宅患者1200人のうち自宅、ホスピスで看取られた人がそれぞれ40%台、病院での看取りは20%にも満たない。同ホスピスがまとめた資料(2000年2月発行)によると

英国のホスピス数220ヵ所に対して、在宅ホスピス・ケアの拠点は340ヵ所、デイケアセンターは237ヵ所。また、ホスピスが新たに受け入れる患者は年間4万人(推定)に対して、訪問看護婦がケアする新たな患者は10万人である。

平均在院日数は13日・・・これはホスピスのベッドの使用目的が主としてレスパイト・ケア用であること、ホスピスが在宅ケアすなわち「在宅ホスピス」のサポート施設であることを表している。

在宅ホスピスの広がりは、整った家庭医制度と高度な技術をも持つ訪問看護婦の存在を抜きにしては語れない。

英国では特定の資格を持つ専門看護婦・・・麻酔を扱えるなど看護専門職に大きな権限が与えられているため、在宅でも訪問看護婦が痛みのコントロールを出来る。また扱いが容易な痛み止めの錠剤や家庭用の酸素吸入器の開発など、緩和ケアを家庭でも可能にする機器・技術の普及も在宅ケアを後押ししている。

なぜ、施設でなくて在宅なのか・・・病院長を辞めて在宅ホスピスに専念する東京の開業医:川越厚グループ・パリアン代表は以下のように指摘。
・「ホスピスといえども集団入居施設なので自由を制限される。」
・「個室でも痛みでうなされると、他の患者に聞こえるからと鎮痛剤を打たれる。」
・「患者の家族は自宅とホスピスの二つの場を背負い込むため、心の負担は在宅の2倍。」
・「なにより自宅でこそ本当の看取りができる。医療費も割安。」

内藤いづみ医師・・・英国のホスピスで5年間研修し、「あした野原に出てみよう」を著す。(オフィス・エム刊)
・「患者が落ち着き、ぎりぎりまで好きなことができる」と言う。

■我が国でも在宅ホスピスに取り組む開業医が少しずつ増えているものの、大勢は施設ケアが主流。在宅ホスピスを広げるには、ソフト(心)よりもハード(機器・施設)を優先する医学会の改革と同時に、根強い病院信仰にとらわれている患者・家族側の意識改革も欠かせない。


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